TOP

EDITOR'S

2016.09.13

【編者の雑談】12歳の少年が、反同性婚デモを止めようと1万人を前に1人立ちはだかる

先週末にメキシコで起きた「反同性婚デモ」にて撮影された1枚の写真が物議を醸しています。そこには、大勢の抗議者と警察車両を前に、両手を広げて立ちはだかる1人の少年が写し出されています。この緊迫感ある情景から、何を感じますか?

 

 

 

1万人以上の群衆に立ち向かう1人の少年

結婚の平等を説く同性婚法。メキシコでは、メキシコ市をはじめいくつかの州で同性婚が認められています。そして今年の5月に、エンリケ・ペーニャ・ニエト大統領が国全土で合法化するための憲法改正案に署名したことから、LGBTに対する寛容に期待が高まっていました。

 

 

しかし先週末に入り、その憲法改正案に抗議する人々により、メキシコでは前代未聞かつ大規模な「反同性婚デモ」が行われました。そのうちのひとつ、団体「National Family Front(国民家族戦線)」により編制されたデモ行進は、19の州をまたがり、約11,000人が参加していたと言われています。

 

 

そして、デモの間にたまたま撮影されたのがこの一枚。反LGBTの人々をたった1人で止めようと両腕を大きく広げ、道路の真ん中に立ちはだかる少年が写し出されています。

 

1609131source/BUZZFEEDNEWS

 

 

撮影者は、ジャーナリストのマヌエル・ロドリゲス氏。

 

「こんなにものホモフォビア=同性愛嫌悪者を前に吐き気をもよおすほどだったけど、この抗議者たちを“STOP”しようとしているこどもを見かけて写真を取ろうと思った。小さな男の子が群衆に向かって歩き出し、腕を広げて停止サインを示したんだ、僕の目を奪ったよ」

 

 

しかし、辿り着いた群衆により少年は脇に追いやられてしまったそうです。すかさず声をかけに駆け寄ったロドリゲス氏。「遊んでたの?それとも何かがそうさせたの?」

 

 

聞くところによると、その少年の名はセザールと言い、彼の叔父がゲイとのこと。同性愛者である叔父を憎まないでほしいという気持ちから、憎しみに駆られた抗議を止めたかったそうです。ロドリゲス氏がさらに質問をしようとすると、少年の母親が彼を呼び、連れて行ったそうです。

 

 

 

「12歳くらいの少年の言葉を聞いて、そしてその表現方法に心を動かされたんだ」

 

 

 

 

一部から「写真はフェイクだ」との声も

1609132source/African Spotlight

 

彼は、ジャーナリストとしてデジタル新聞『Al momento Celaya』のフォトグラファーも務めているのですが、この写真は私的なものとして自身のfacebookにアップすることに。さすがはSNSです、写真はあっという間に拡散されました。

 

 

「僕の写真がここまで共感を生むと思わなかったよ。友達とシェアしようと思って、パーソナルファイルにアップしたんだ。僕自身はNational Family Frontが主催した抗議自体に反対。でも、ジャーナリストとしてどうスタンスを取ればいいか分からなくて、個人のアカウントにしたんだよ」

 

 

 

しかし、この絶妙なアングルやタイミングから、一部より「ヤラセではないか」との声が挙がり、ヤラセ写真を集めている団体にも取り上げられてしまいます(しかし、それがさらなる拡散を生んだとのこと)。

 

 

ヤラセだと主張する人々に対し、ロドリゲス氏は“写真を偽物と感じる人は、少年から何の声明も感じないからだろう”と返しています。「稼ぐためにやってるって?良い写真を撮りたいがために、少年を雇って偽装しているという人もいるよね。地元紙担当で、移動や食事のためのお金も無いって言うのに、こういったことのために使うお金があると思うのかな」

 

 

彼の勤め先からは、「それぞれの(同性婚に対する)立場から、この案件に関わりたくない」というコメントが出ているそうです。

 

 

 

 

多くの想いを少年が代弁している

1609133source/Photobucket

 

【編者の雑談】ということで、ここから私見を述べたいと思います。まず感じたのは、

 

・こんなにも反同性婚の抗議者がいるのか。

・例え写真が偽物で、少年が作られた存在だとしても、その少年は多くの人を代弁しているのではないか。

 

 

ということです。

 

 

宗教的な理由や男女どうしでしかこどもがつくれないという生物学上の意見など、それぞれのバックグラウンドがあり同性婚ひいてはLGBTを認められなという人もいるのでしょう。でも正直なところ、当事者がどれだけ迷惑をかけているのか……その答えを求めたいです。家族に同性愛者がいると周りの目が気になるから迷惑? 社会全体に偏見が存在し、それぞれの信仰心を他人に押し付けるからLGBTが悪になる、LGBTは迷惑だと思い込んでいる人がいるのではないでしょうか。反LGBTを唱える多くの人々に、どうすればLGBTをより理解してもらえるのか、もっと考えていくべきだなと改めて感じさせられました。

 

 

またフェイク写真だという話題に対してですが、もちろん営利目的で真実を捻じ曲げることは間違っていると思います。ただ、ここでは写真の本質を見るべきではないでしょうか。今回は少年が可視化されていますが、少年のように「LGBTを憎まないでほしい」という同じ想いを抱いている人が多くいるはずです。その想いがこの少年として写真に表現されたんだ、少年が代弁しているんだと考えると、仮に偽装でも“可視化されたこと”に意味があるのではないでしょうか。偽装した人にも意図があるのかもしれない、と。

 

 

「憎まないでほしい」という想いは、12歳の少年のように武器も持たず無防備で傷付きやすい。1万人の群衆に倒されてしまうかもしれない、それでも自らを犠牲に強い想いを伝えたい。

 

 

そのように感じます(まるで、『風の谷のナウシカ』のナウシカのようです……。考えすぎ?)とはいえ純粋な気持ちが少年を突き動かし、その真実が撮影されたのだと信じています。あくまで個人的な見解にはなりますが、みなさんはどう感じますか?

 

 

 

Top Photo/BUZZFEEDNEWS

姉妹サイト

KEY WORD

この記事が気に入ったら
"いいね!"しよう。

SECRET BOXでは最新のLGBT情報をお届けします。

RELATED ARTICLE

2016.12.01

レイプと聞いて、男性の被害者を思い浮かべる方はほとんどいないのではないでしょうか。強姦事件の発生の割合からいくと、男性が加害者であることのほうが多いかもしれませんが、だからといって男性被害者の存在を否定してしまうのは間違…

2016.11.07

GLAADが2016-17シーズンのテレビレポートを公表。過去に比べLGBTQの露出が増えたものの、まだまだ改善すべき問題があることを提示しています。特に顕著なのがLGBTQ内での差別。とにかくレズビアンキャラが死んでし…

2016.10.16

昨今、出会い系アプリを通じて出会った者同士愛を育んでいる人も多いと思いますが、素性が分からない人、こちらが意図せぬ目的で利用している人と出会う可能性もあるのがシステムの盲点ですよね。今回はそんな出会い系アプリの危険性を再…

2016.10.05

意識しているしていないに関わらず、こどもが手にするおもちゃにも“男の子用” “女の子用”と見えないラベルが付けられていると思いませんか? あるトイストアのCMは、シンプルながらもそんなステレオタイプを覆すメッセージが込め…

2016.09.01

海外ドラマ『ホワイトカラー』などで知られるイケメンゲイ俳優マット・ボマー。この度、新ドラマにてトランスジェンダーの女性役に抜擢されたのですが、これはトランスジェンダーに対する差別だと物議を醸しています。果たして、彼は断る…

2016.08.30

2015年にカミングアウトしてから、何かとイケメンゲイ枠で様々なメディアに取り上げられているフリースキーヤーのガス・ケンワージー。その見た目のカッコ良さに体中がとろけそうですが、中身も素敵すぎる真のイケメンなんです。 &…

2016.08.21

「好き」と「嫌い」は深層心理が同じだと言われています。その相手を嫌いと思うのは、自分の嫌な部分を相手に投影しているから、あるいは自分が持てない相手の価値観を妬ましく思っているから。それと同様に、際立って同性愛嫌悪を示して…

2016.08.07

東京五輪を4年後に見据えた、リオオリンピック2016が開幕!スタジアム工事の遅れや、治安問題が不安視されていたものの、始まってみれば大きな盛り上がりをみせています。開幕早々、複数の種目において日本選手がメダルを獲得してい…

2016.08.06

ヘイトクライムが未だ残るものの、欧米諸国や日本では、少しずつセクシャルマイノリティに対する理解が広まってきたように思えます。しかし、一部の国では同性愛=死に直結するのです。「編者の雑談」第12弾では、国による同性愛の捉え…

2016.07.26

早くも第11弾となる「編者の雑談」ですが、今回はバイセクシャルを過渡期としてレズビアンと自認するには、どういった根拠が必要なのか考えてみたいと思います。レズビアンをテーマにはしていますが、バイ→ゲイでも同じことが言えるか…