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2016.05.04

【編者の雑談】生きづらい社会は誰の責任?〜LGBTの自殺について〜

思春期を迎える若者が、悩んだ末に自殺を選択してしまうことは珍しくはありません。そこには様々な理由がありますが、“セクシャルマイノリティである苦悩”も、そのうちのひとつとして挙げられます。「編者の雑談」第四段では、LGBTの若者がなぜ自ら死を選ばざるを得ないのかについて考察してみたいと思います。

 

 

はじめに、自殺という行為そのものに対して賛否両論あるだろうと理解しています。「授かった命を自ら無駄にするなんて、いかなる場合でも間違っている」「死ぬ前に他の方法を考えられたのでは」といった意見もあって当然です。でも、そういった考えを超えてまでして死を選択せざるを得ない状況に置かれている人がいるという事実、そしてその状況をつくっているのは当事者だけではないということを受け止めない限り、自殺は決してなくならないです。

 

 

アメリカの資料センター「The Suicide Prevention Resource Center」(SPRC)の研究報告では、LGBTの若者のうち30〜40%が自殺行為に及ぶ、または自殺未遂の経験があるとされています。1年のうちに約34,000人以上の人が自殺で亡くなっており、自殺原因のTOP3にセクシャルマイノリティであることが入るそうです。また、LGBTの若者の自殺企図率は異性愛者の4倍近くにのぼるとのこと。
自殺大国という皮肉めいたニックネームを持つ日本でも、LGBT当事者の約65%以上が自殺を考えたことがあると答え、約15%が自殺、あるいは自殺未遂の経験があるといった報告がされています。

 

 

亡くなった方には本当の理由は伺えないですし、そもそも自殺を図った人がセクシャルマイノリティだったのか、それが自殺の原因となったのかは表面化されないため、正確な自殺率を計測することは困難です。死を選択するほど悩んでいる=周りに打ち明けられないケースも多いと理解できます。

 

 

では、なぜLGBTの若者の自殺企図率が高いとされるのでしょうか?
今でこそLGBTの認知が少しずつ高まってきてはいるものの、異性愛が“普通”とされている社会の中で、感受性豊かな思春期の若者が自分の性的指向を知り、自分は普通じゃない、おかしいんだと思い込んでしまう、結果ひとりで抱え込んで思い悩んだり、精神的な病気にかかってしまう人もいるのです。また、いじめの対象となることで、自殺に追い込まれる人も。
つまり、社会全体の知識や理解がない限り、生きづらさを感じる人が出てきます。社会という大規模な枠組みの前に、身近な人々のサポートが必要だという意見もあると思いますが、そもそも少数派に所属する人々は、それを非として捉える社会の誰を信じたらいいのか、誰に打ち明ければいいかも分からないという状況に置かれているんです。そういった現状では、同じ境遇の人、コミュニティーに相談できる環境が整っているといいかもしれませんね。

 

 

レインボーウィーク真っただ中、様々なイベントが開催されていますが、LGBTの若者を応援する催しも多く存在します。親や友達、身近な人に話せない、話したくないのなら同じ境遇の人と話してみると悩みも少しは解決するかもしれません! ここでいくつかご紹介させていただきます。(イベント名をクリックすると、東京レインボープライドのサイト内詳細にとびます)

 

 

~ゴールデンウィーク特別企画 ハートをつなごう授業特別編〜「ハートをつなぐ♡カラフルランチ交流会」
LGBT若年層の自殺予防を目的とした応援メッセージサイト「ハートをつなごう学校」が主催するランチ交流会。参加者がゆっくり会話を楽しめる場を目標に、ゲストを招いてのトークイベントやビデオメッセージの撮影会を企画!

日時:5月5日(木)11:00〜15:00
主催:特定非営利活動法人 ハートをつなごう学校
場所:irodori /東京都渋谷区神宮前2-14-17-1F
www.heartschool.jp

 

 

 

みんなで考えよう!! 10代への支援
LGBTの若者を支援したい、でも何から始めればいいのか分からないという人へ、福岡で支援をスタートしたFRENSの石崎氏をお招きし、一人一人ができる支援を考えましょうという、支援者側のサポートイベントです。

日時:5月5日(木)14:00〜17:00
主催:いらかの波
場所:神田レンタルスペース FBCフォーラム/東京都千代田区神田須田町1-2-3 山房ビル2階2号室

 

 

 

新・調査報告発表:学校におけるいじめの現状とは?政府は何をすべき?
「おまえの身勝手が、学校の調和を乱すことは許さない。」
このイベントの主催団体、国際NGO ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)がインタビューした当事者の高校生が、学校の先生に言われた言葉だそうです。日本全国8都市で50人を超える中高生の当事者を含む約100人の関係者から、学校でのいじめの現状について聞き取り調査を行い、そこから見えてきた学校の現状と日本政府への提言を、元・オランダ国会議員で世界初の同性婚を導入したボリス・ディトリッヒ等を発表。

日時:5月6日(金)13:00〜14:00
主催:国際NGO ヒューマン・ライツ・ウォッチ
場所:日本記者クラブ/東京都千代田区内幸町2-2-1 日本プレスセンタービル10階

 

また、HRWでは5月7日(土)にも「LGBTの子どもに対するいじめと、差別禁止法整備の必要性」という、ディスカッションイベントを開催予定。興味のある方は詳細をチェックしてみてください。

 

 

改めて自殺大国の日本という観点からみますと、就職や仕事に関するもの、人間関係など自殺の理由は様々で、とりわけセクシャルマイノリティが浮きだっているわけではないですよね。中には、異性愛者の方がよっぽど自殺しているといった意見もあります(それを記事で見た時は、母体が違うじゃないと思いました……)が、大事なのは自殺率だけでなく、自殺の原因をつくっているということ。大袈裟に言うなら、直接的ではないにせよ殺害に加担していることになります。無関心だって殺害加担になります。

 
なぜ、異性愛者じゃないというだけで、変わり者扱いをされたりいじめを受けなければいけないんでしょうか。まずは、そういった自殺の原因になることをひとつずつ解消していく必要があると思います。どう解消するかが今一番考えるべきポイントですね。

 
また、LGBTに関することだけでなく(カテゴライズしたくないですが)“マイノリティ”と言われているすべての人々が生きづらさを感じない社会を、社会という枠組みに所属している人みんなで作っていくべきなのでは、と思います。

 
 
※一編者の考えとして捉えていただけると幸いです。

 
 
 

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