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2016.04.24

ノースカロライナ州の「トイレ法」争いはいつまで続く?

米国ノースカロライナ州の州法H.B.2、通称「トレイ法」が長期に渡り物議を醸しています。公共においてのプライバシーや安全を優先するため、生物学的なジェンダーに基づいたトイレの使用を強制させるというこの法、最終的に誰を護ることになるのでしょうか。

 
 
トイレ法って何?
ノースカロライナ州パット・マクロリー知事が署名したことで成立したH.B.2。
「Public Facilities Privacy & Security Act=公共施設におけるプライバシー&安全法」という法律で、出生時の生物学的性に基づいたトイレの使用を強制する内容です。つまり、トランスジェンダーの人は、自認しているジェンダーとは別のトイレに入らなくてはいけないのです。

 
 
LGBTの差別が生き続けてしまう
想像してみてくだい。自分の心は女性であって、周りからも女性として認められたいのに、生まれたのがたまたま男の体だっただけで男性のトイレに入らなくてはいけない。逆もまた然り、男性として生きたいのに女性トイレに入らないといけない、しかも「女性トイレに男性がいた!」と通報もしくは暴行されることだってあるんです。こういった当事者の気持ちを無視していることから、このトイレ方は“反LGBT法”だと様々な反対運動が起きています。
出生証明証に記載されたジェンダーを法的に変更している場合は別となりますが、年齢的なものや手術代といった手続きに至るまでの費用を考えると、すべてのトランスジェンダーが可能という単純なことではないですよね。与えられた体は大切にしたいからと手術を選ばない人だっているんです。

 
 
オバマ大統領も法を批判
マイクロソフトやバンク・オブ・アメリカ、コカ・コーラといった大企業の声明をはじめ、リンゴ・スターやパール・ジャム、ブルース・スプリングスティーン、ブライアン・アダムスといった往年のアーティストたちもノースカロライナでの公演を取りやめるなど、トイレ法に対する嫌悪を表しています。事業撤退を決断した企業もあるということで、ノースカロライナ州への打撃は大きいものではないかと想像できます。
また、この度オバマ米大統領も、キャメロン英首相との共同記者会見にて「この法は間違ったまま通ってしまっている、否決されるべきだ。……私は、トランスジェンダーやゲイ、レズビアンといった性的志向に関係なく平等の権利が尊重されるべきだという点で、法に反対である」と述べています。さらに、米大統領選で共和党候補を目指すトランプ氏もトイレ法を批判しています。

 
 
どうしてもトイレ法が必要?
マクロリー知事を筆頭になぜこのトイレ法を成立させ続けたいかというと、反差別法を目の前にプライバシーや安全を重きにしているからです。もしかしたら、女装をした変質者がトランスジェンダーのふりをして女子トイレに入り犯罪を起こすかもしれない、その可能性はゼロとは言い切れません。その主張も十分理解できますが、現状においてLGBTの差別を禁止したこと(トランスジェンダーの人々が意思に沿ったトイレを使用することを認めるということ)で、性犯罪はおろかプライバシー侵害の事件が増加したという報告はされていないそうです。

 
 
 

まだまだ解決の糸口が見えていませんが、男性用・女性用の二択しかないことに何ら疑問を持たずにトイレを使用し続けてきたことに問題があるのかもしれないですね。今でこそ、日本では多目的トイレをよく見かけるようになりましたが(さすがトイレ先進国、駅などの公共の場は綺麗なところも多いですしね)、公共施設であるのにすべての人に開けたパブリックスペースでない、全くもって配慮が欠けているように思えます。多感な子供が通う学校だってそうです、二択が当たり前だと教えつけているようなものです。
とはいえ、現状二択のトイレを改築するにも時間や費用がかかるでしょうし、「トランスジェンダー専用」と掲げるトイレを作ったとしても、それはそれで差別に当たりますよね。

このトイレ法、最終的に誰をどう護る法となるのか目が離せません。
 
 
 

Top Photo/Pinterest

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