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2016.04.19

【編者の雑談】同性婚法のその先〜結婚式に誰が来てくれる?〜

結婚式には誰を呼ぼう?招待したらみんな来てくれるかな……結婚はまだまだ未定ですが、ひとり妄想をしながら余計な心配をしている「編者の雑談」第三弾は、結婚式を進める同性カップルについて。同性婚が法で認められた、さて結婚式を開こう!と準備していたカップルに起きた事件をもとに考えてみます。

 
 
近年、事実婚という概念が浸透しつつありますよね。婚姻届は出していない、入籍はしていないけれど、端から見ると夫婦と変わりない生活をしている状態を指します。フランスでは、半数以上が事実婚だという話もありますが、パックス制度といった法的な保証があり、結婚していなくてもそれなりの権利を主張できるからなんですね。とはいえ、事実婚を選択する人が多い理由は“お国柄”であることも。結婚や離婚の制度が複雑で諸々の手続きが面倒だから事実婚で済ましている、という意見も。

 

世界中の国がフランスのような考え方であれば論点が変わってくるのかもしれませんが、要は事実婚では認められないものがあり、結婚には意味があるということ。「結婚する」ということは法的な権利を得られますし、周囲の認知も変わります。そういった意味で、同性愛者にとっても同性婚法成立はとても大きな事なのです。どうしても同性のパートナーといたいなら事実婚でいいじゃない、という見方は本末転倒、特に虐げられてきたからこそ異性カップルと同等の権利を手に入れられる、同性の「結婚」はより意味を持つのでは? 日本でも同性婚が早く認められることを祈っています。
(フランスは事実婚には寛大で結婚にあまり重きを置いていなさそうなのに、同性婚に関しては激しい論争がされていたな〜とふと思ったり)

 

 

本題はここから。同性婚が認められ、満を期して(異性と同じく)結婚式を挙げたいと思うのが普通ですよね。もちろん問題なく式を終えている方もたくさんいます。しかし、結婚式の準備をしていたアメリカのあるカップルに悲劇が訪れたのです。

 
オハイオ州に住むキースとチャドは、1ヶ月後に結婚式を迎えるカップル。9年間連れ添い、同性でも結婚ができるという自由を手に入れ、幸せを掴んだと思っていたのに、心ない招待者(匿名)の手紙により悲痛を味わうことに。
以下がその手紙です。
 

douchey_rsvpsource/OUT

 

 
「こんにちは、キース・アランとチャド・マイケルへ

 
ただあなたたち二人に知らせたかっただけなんだけどね、間違った人へ招待状を送っていますよ、と。
私たちがあなたたちカップルを応援していると思っているかもしれないけど、えっと、それは大きな間違い。
招待状はカントン・アクロン地区のアンチゲイ団体に転送したから、彼らが結婚式に参列するはず。抗議しに来るってこと。
男二人が結婚するなんて普通じゃないから。
あなたたちどっかおかしいんじゃない?
罪ですよ!
何人かの友達は、抗議から助けるためだけに結婚式といかいうものに来るかもね。
泣いても笑っても進行しちゃってるから。あなたたちにとって台無しの日になること間違いないでしょうね。
面白い見せ物ショーになりそう。因果応報ですよ。

 
それでは、アンチゲイ・ショーでお会いしましょう!
LOVE.」

 
 
仮にホモフォビアだとしてもそれは仕方のないことです、皆それぞれの考え方がありますから。でも道徳的に考えて、結婚式の招待状に対してこんな手紙を返す神経に驚いてしまいます。ましてや二人の招待者ということで、少なからず面識のある人です。
キースとチャドは手紙にもめげず、結婚式を取りやめないということなので、少し安心しました。
「キャンセルは考えていないよ。手紙にショックを受けたことで、逆に、絶対に挙げなきゃって思ったよ」とキース。チャドも「(結婚は)ずっと待ち焦がれていたものだからね、正直できると思ってもいなかったから。手紙を受け取って、より前に進むための理由になった。愛は必ず最後に勝つ、それが真実」とコメントしています。

 
 

<ニュース動画はこちら>

 
 

このケースはかなり飛び抜けた事例ですが(飛び抜けていてほしい、こんなことが頻繁に起きていたら本気で世界を疑いそう)、誰を招待するか自体悩ましいことなのでは、と考えさせられます。ホモフォビアがいる以上、皆が祝福してくれるのだろうか、心から祝ってくれるのだろうか、内心では気持ち悪いとか思っているのかな、と不安がかき立てられそうです。

 
 
もちろんカップルと周囲の関係性もあると思います。長年付き合ってきたゆえにカップルの理解者も多く、親にも紹介しあえていて、そういった本当に理解してくれている人たちをお招きします、と。
でも中には、あまり周囲にはカミングアウトできずにひっそり二人の愛を育んできた、法で認められるなら結婚もしたい、だけど親にも話せないし祝福してくれる人がいるかも分からないから結婚式を挙げるのは諦めようという人もいると思うのです。
異性婚でも理由あって結婚式を挙げられないという方もいますよね。性別とか関係なく同じ境遇だから、と思うかもしれませんが理由が理由。そもそも同性婚のベースに「セクシャルマイノリティに対する社会の偏見」がありますから、根底から覆さない限りなにかしらの困難はつきまとうかと。同性愛を異質として忌み嫌う概念がなければ、同性愛もノーマルなこととして捉えられ、当事者も余計な心配をする必要すらない。
こうなると、もはや相互理解でしかないですよね。どうしても受け入れられない人やアンチにも理由があるはずなので、そこをどう紐解いていくかも考えていくべきです。

 
 
結婚式は幸せなイベントであるはずなのに、背徳感というのでしょうか、いけないことをしているかのような見えない重圧が、少なからず存在するように思えます。マイノリティを優遇してほしいという主張ではありません。せめて異性愛の人と同じ待遇を。

 
 
 

Top Photo/Pinterest

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