来る12月1日が「世界エイズデー」だということはご存知でしょうか? 1988年にWHO(世界保健機構)により制定され、この国際デーを中心に、毎年世界各国でエイズに関する啓発活動が行われています。ここ日本でも、啓蒙を兼ねた様々なイベントが開催されるのでチェックしておきましょう!
エイズについて考えよう
source/Punjabi Graphics.com
みなさんはエイズについてどのくらい知っていますか?
後天性免疫不全症候群、通称エイズは性分泌液や血液などを介して、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が免疫細胞に感染することで起こる疾患です。1980年代に、アメリカではじめての患者が確認されました。感染したHIVを放置し続けると、体内の免疫が徐々に死滅していきエイズを発症します。免疫力がないため、一般的に様々な疾患、さらには合併症を引き起こします。ただし、初期に風邪をひいたような症状はあるものの、その後特に目立った症状がないまま数年〜10年以上潜伏するため、HIVに感染したことに気付かないまま生活を続け、エイズを発症してはじめて事態に気付くといったケースも少なくないのです。
では、エイズを発症すると助からないのでしょうか?
答えは、いいえ。医学も発達しています。現在ではエイズを発症したからといって必ずしも死に至るわけではなく、治療によって普通に生活を送れるまでに回復することができます。しかし、未だ「エイズ=死に至る恐ろしい病気」「エイズ患者と同じ空間にいると感染する」といった偏見や差別、恐怖が蔓延しています。
また、「自分とは無縁だろう」という根拠のない自信から、感染の対策を怠っていませんか?
いつどこでHIVに感染しているか、感染させているかは予測できません。予防や検査をしない限り確証がないのです。
……とはいえ日々の生活で、エイズについて考える機会はなかなかないものですよね。そこで、もっとエイズへの関心を高めよう!と12月1日に制定されたのが、「世界エイズデー」です。
今年もTokyo AIDS Weeks 2016開催決定!
啓発活動の一環として、日本でも世界エイズデーに合わせた様々な催しが予定されています。中でも注目したいのが、2015年よりスタートした「Tokyo AIDS Weeks 2016」。
“市⺠のエイズへの関心を高めて感染拡大の抑止を図るとともに、HIV陽性者およびHIV/エイズに対する偏見・差別を解消し、感染した人々も安心して暮らせる社会の実現を目指す” という信念のもと、様々なNGOやグループが連携し、情報発信を行うイベントです。
今年は、「第25回レインボー・リール東京」で上映された話題作『パリ 05:59/Théo et Hugo dans le même bateau』を再上映します。こちらの記事でもご紹介しましたが、2016年ベルリン国際映画祭でテディ賞観客賞を受賞した注目の作品です。上映とともに、セックスライフや新しい予防についてなどをテーマにしたトークイベントも予定されています。
また、約2,000人のHIV陽性者が通院しているとされる日本におけるエイズ治療の中核、国立国際医療研究センターのエイズ治療・研究開発センターでは、昨年に引き続きゲイ男性・トランス男性の有志メンバーによる合唱ミニコンサートが開催されます。病院の外来ロビーでコンサート?と思うかもしれませんが、入院中の患者さんをはじめ家族やその周りの人、医療従事者といった多様な人々に歌声を届けることができる素敵なイベントとなっています。当日は、HIV陽性者による手記朗読なども予定されています。
イベントの詳細は以下の通りです。
RED awareness vol.2 映画『パリ 05:59』特別上映会+トークイべント
■会期/2016年12月1日(木) 開場 18:30[上映 19:00]〜終了 23:00
■会場/AiSOTOPE LOUNGE
■住所/東京都新宿区新宿2-12-16
■入場料/カウンターにてドリンクオーダー制
■出演 /
MC:エスムラルダ(ドラァグクイーン・ライター。1994年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イべント、メディア等に出演。2002年8月、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。)
トークゲスト: 山元泰之(東京医科大学 医師)、高久陽介(NPO法人 日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス代表理事)、岩橋恒太(NPO法人「akta」代表理事)
グランドホステス: マダムボンジュール・ジャンジ(ドラァグクイーン/NPO法人「akta」センター⻑)
ラウンジDJ:M★NARUSE
■主催/NPO法人「akta」
■共催/NPO法人 レインボー・リール東京
■協力/東京都福祉保健局、AiSOTOPE LOUNGE、TOKYO AIDS WEEKS 2016実行委員会
Gay Menʼs Chorus for Tokyo AIDS Weeks 2016 ミニコンサート
■会期/2016年12月10日(土) 16:00〜17:00(予定)
■会場/国立国際医療研究センター 中央棟(アトリウム)地下1Fステージ
■住所/東京都新宿区戶山1-21-1
■入場料 無料(事前申し込み不要)
■出演/指揮:なおき、Piano:ぶっち
■曲目/
01. Climʼb Evʼry Mountain
ミュージカルや映画で有名な『Sound of Music』からの1曲。
02.I Dreamed a Dream
ミュージカルナンバー『レ・ミゼラブル』より。
03.松田聖子メドレー
曲目は当日のお楽しみに♡
04.大空
「ときどき通信」という2人組による楽曲。札幌のエイズ啓発イべントWAVE2008にて、地元のある陽性者の手記をきっかけに生まれました。 PV https://www.youtube.com/watch?v=r85xP7cvCe0
05.誕生
昨年に引き続き、中島みゆきの名曲をどうぞ。
06.上を向いて歩こう
会場のみなさんも一緒に歌いましょう!
■主催/TOKYO AIDS WEEKS 2016 実行委員会
■事務局/NPO法人ぷれいす東京
ほかにも世界エイズデー当日を中心に、厚生労働省主催のイベント「RED RIBBON LIVE 2016」や多くの街頭キャンペーンなどが予定されています。また多くの自治体がHIVの無料検査を実施しているため、ぜひこの機会に検査してみてはいかがでしょう。
偏見や差別、恐怖は知識と真実によって正すことができます! まずは、その知識と真実を自分のものにすることが大切です。12月1日の世界エイズデー。エイズについて考えてみませんか?