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2016.11.07

【編者の雑談】どの番組でも「レズビアンキャラ」が死にすぎ問題

GLAADが2016-17シーズンのテレビレポートを公表。過去に比べLGBTQの露出が増えたものの、まだまだ改善すべき問題があることを提示しています。特に顕著なのがLGBTQ内での差別。とにかくレズビアンキャラが死んでしまう確率が高いのです。

 

 

 

GLAADが発表した2016年度リポート概要

1611073source/Jeffrey Marsh

GLAAD(Gay & Lesbian Alliance Against Defamation/中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟)は「Where We Are on TV」というテレビ調査を12年前より開始。この度、2016-17シーズンの調査結果を新しくリリースしました。その報告により以下のことが明らかになっています。

 

 

 

・テレビ放送に定期的に出演しているLGBTQの割合は4.8%を占めている。これは過去最高の数値である。

 

・トランスジェンダーのキャラクターはすべてのプラットフォームで倍増している

 

・レズビアンに関わる表現はテレビ放送において減少しておりLGBTQ全体の17%にしか及ばない。

 

・バイセクシャルに関わる表現はテレビ放送にて30%、またストリーミングシリーズでも26%まで上昇

 

・バイセクシャルに関わる表現は男性より女性にまつわるもののほうがはるかに多い(これは固定概念を生み出す可能性がある)。

 

・昨年に比べて人種の多様性が認められるものの、ケーブルやストリーミングプラットフォームにおけるLGBTQの約7割が白人である。

 

・放送プログラムにおける2割は、黒人が主役あるいはレギュラーで出演している番組だが、黒人女性の出演はそのうち38%にとどまっている

 

・定期的に出演しているアジア人のLGBTQキャラクターが占める割合は6%であり、昨年とあまり変化はない

 

・ゴールデンタイムの放送番組にレギュラーとして出演している女性の割合は44%と昨年より上昇しているものの、女性が人口の51%を占めることを考えるともう少し表現されてもいいのではないか。

 

 

 

 

レズビアンキャラが死にすぎじゃないですか?

1611071source/THE MARY SUE

 

LGBTQのメディア露出自体は増加傾向にありますが、レズビアンの描写は減少していることが分かります。さらにGLAADの調査によると、2016年のはじめより、レズビアン・バイセクシャルとして描かれている女性キャラクターの25人が死ぬという結末を辿っているんです……!

 

 

個人的な話にはなりますが、編者も海外ドラマが大好きなため『The 100/ハンドレッド』のレクサや『The Killing/キリング』のブレットといった、多くのレズビアンキャラに出会ってきました。でも、お気に入りに限ってみんな短命なんですよね……その後プログラムが続いても「もう出てこないんだよな〜(出てきても回想)」と思うと、とても悲しい気持ちになります。さらに問題なのは、レズビアンに対する悲観的なイメージが染み付いてしまうということ。「結局レズビアンだと不幸になるんだよね」という嫌なプロットを巻き起こす可能性があるんです。

 

 

異性愛者でもシスジェンダーでも、さらにはゲイでも、物語を盛り上げるためなどの様々な理由で死んでしまうキャラクターは多く存在します。ただしその比率が、レズビアン女性とまったく違うということなんですよね。そして死に方が残忍。ドラマって非現実感というか、自分の夢や希望を重なり合わせたりする場所でもあると思うんです。境遇が似ているキャラクターがハッピーエンドだと、なんだか自分もハッピーエンドを迎えられそうで幸福感に包まれる。逆に感情移入していたキャラクターがバッドエンドだと自分の身に不幸が襲ってきたかのような感覚に陥るものです。そう、レズビアン女性だってハッピーエンドを迎えたいんです。

 

 

 

1611072source/glaad

 

この“レズビアンキャラ早死に”問題に対しGLAADの社長兼CEOを務めるサラ・ケイト・エリス(Sarah Kate Ellis)氏はこう述べています。

 

 

「これらの死は、メインキャラクター(主にストレート、シスジェンダー)の物語を仕立てるため以外の何でもありません。レズビアンやバイセクシャル女性があまりTVで描かれていないにも関わらずこれらのキャラクターを殺すということは、クィア女性の物語の価値に対して有毒なメッセージを送っているということです。ほとんどのクィア女性に繰り返される結末が、暴力的な死。プロデューサーは、このキャラクターの死の理由、そしていかにしてオーディエンスとコミュニケーションをとっているのかについて自問すべきでしょう」

 

 

この問題は以前から顕著で、実は今回に限ったことでもなかったりします。LGBTキャラの描き方、特にレズビアンキャラクターに死が集中したことで、「Dead Lesbian Syndrome=死んだレズビアン症候群」「Bury Your Gays=同性愛者を葬れ」なる抗議活動が行われています。現在も#BuryYourGaysというハッシュタグで多くのツイートがされています。それでいて依然として改善が見られないという点で槍玉に挙げられているのかもしれませんね。

 

 

 

 

レズビアンだから特別扱いすべき、絶対にハッピーエンドを迎えるべきという主張はお門違いですが、何もここまでレズビアンキャラを殺さなくても……ただでさえ出演割合が低いのに!?というのが本音。みんなのお気に入りキャラであるからこそ、より辛いんです(トップ画像でもある『The 100』のレクサは、レズビアンのカリスマ的な存在だったりしますよね)。そのレズビアンキャラたち自体は好かれていると考えると、後はシナリオ次第……未来は明るい気がします!

 

 

 

Top Photo/fan pop

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