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2016.09.21

年の差、国籍、病……困難を乗り超え育まれた愛〜デールさんとたかしさんの物語〜

これはある日本人男性と、そのパートナーであるアメリカ人男性の物語です。一目惚れから始まった恋は愛へと発展。物理的な距離や病など、あらゆる困難を乗り越え30年以上にも渡り育まれてきたその愛にフォーカスします。

 

 

 

ペルーから日本へ

1609211source/gofundme

 

「僕はたかしと永遠に一緒にいるんだろうなって分かってたよ」

 

 

目に涙を浮かべながらそう語るのは、朝鮮戦争退役軍人の85歳デール・グリーンさん。現在、アメリカの病院で末期がんと戦っています。「離れる理由なんて微塵もなかったね。一目惚れだったよ、お互い深い愛があったんだ。ふたりともそれを知ってたし、今もそうだよ」

 

 

 

デールさんの愛するパートナーは、現在53歳のなかやたかしさん。ふたりは、ペルーのリマにある繊維工場で働いている際に出会い、互いに一目惚れします。当時ペルーでは反政府勢力による闘争が頻発、同性愛者に対しても決してウェルカムな雰囲気ではありませんでした。ここには長くいれないだろう、とアメリカに移り住むことを決意するのですが、日本人のたかしさんはビザを取得できず、ふたりは最終的に日本に移住します。

 

 

その後、日本での生活を拠点に、友達に囲まれながらなに不自由なく過ごし、様々な国を旅していたふたり。しかしデールさんも観光ビザで日本に滞在していたため、3ヶ月ごとに出国・入国を繰り返さなければいけませんでした。「彼が日本を離れるたびに、戻ってこれなかったらどうしようと不安でたまりませんでした」。

 

 

 

そんな中、デールさんが病で倒れてしまいます。しかし、徹底的な診断が行われないまま病院に3週間ほど滞在することに。
「日本の医療システムはとても複雑ですよね。デールと一緒だと、その複雑さがより極端で……」と口にするたかしさん。「ビザの定められた日程を超えると不法滞在になってしまいます。元軍人にとってアメリカでは手厚い社会保障や医療ケアも、海外では無意味になります。日本にも在郷軍人局(VA)病院があるのですが、デールは現役ではないので治療の対象になりません。結局、外国人は1ヶ月以上の民間保険がないと病院にいれないんですよ。デールは現金で入院せざるを得なくて、数日でお金もなくなりましたよ」

 

 

そんな日本に対し疑問を感じはじめ、同時に同性愛者に対して法的な保証がまったくないことに気付きます。

 

 

 

病状が悪化するばかりのデールさん。ふたりは在郷軍人局病院でのケアを求め、渡米します。そこではじめて、デールさんがステージ4のメラノーマ(皮膚がん)であると知らされるのです。

 

 

 

 

今だからこそ結婚したい……!

以前から、「結婚するためにアメリカを旅したいね」と結婚の話題がちょこちょこと挙がっていたそうなのですが、日本で住む以上あまりメリットがないという結論に至り、諦めたくない思いもありながら話を流していたそう。そして、いつの間にか“結婚した”気分になっていたふたり。家族や周りの友人もそう思い込んでいたらしいのです。

 

 

しかし、2015年にアメリカ全土で同性婚法が施行、外国人との同性カップルも配偶者として認められるようになります。この出来事に気付いていなかったデールさんは「こんなこと夢にも思わなかったよ。最高裁がそう決めたの?ただただ驚くばかりだよ、まさにたかしのためにやってあげたいことだからね」と語りながら、31年添い遂げたたかしさんにグリーンカードをプレゼントし、最後の時間をともに過ごしたいという思いに駆られます。

 

 

ここではじめて「結婚することの意義」を感じたと言います。例え日本で効力がないとしても、アメリカで配偶者としてのメリットや法の保護を受けられるのならば、とすぐさま病院で結婚することを決断。

 

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医師や看護師をはじめ、たくさんのスタッフやソーシャルワーカーが結婚の立会人となりました。ともに愛を誓い合うデールさんとたかしさん。結婚の成立とともに病室中が歓喜に満ち溢れました。在郷軍人局病院で同性結婚が行われたのははじめてのことだそう。

 

 

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たかしさんは涙を流しながら、「皆さんが私たちを受け入れてくれることも大きなことですが、見ず知らずのカップルの愛をともに祝福してくれることは、本当に素晴らしいことです」と語っています。

 

 

 

最後の最後まで一緒にいよう

その後、家のことや仕事があるたかしさんは日本に帰国するものの、デールさんが集中治療室に移動、治療も手を尽くし先が長くないことを知らされます。愛する人の嫌な情報は聞きたくないものです。

 

 

デールさんは、生きている間にたかしさんに会いたいと病院にお願いします。そんなふたりの話がメディアで紹介されたのを機に、世界中の人々から愛やサポートが届くようになり、中にはたかしさんの移動用に、とプライヴェートジェットの調達を申し出てくれた人も。そのおかげもあり、やっとの思いでアメリカに戻ったたかしさんはデールさんと再会を果たします。

 

 

病院も全面サポート、デールさんのウィッシュプログラムを作成し、たかしさんのそばにいれるようアレンジを施します。

 

 

「私が言えるのは、『Wow…』の一言。世界にはこんなにも善い人たちがいるんですね。ものすごく感動しましたし、祝福を感じます」と語るたかしさん。

 

 

 

 

この物語の結末はまだ分かりません。しかし、30年以上愛し合い続けてきたふたりが今、とても幸せを感じていることはひしひしと伝わってくるはずです。

 

 

 

Top Photo/PinkNews

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