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2016.08.21

【編者の雑談】医学研究結果:ホモフォビア(同性愛嫌悪)の男性ほどゲイに興味がある

「好き」と「嫌い」は深層心理が同じだと言われています。その相手を嫌いと思うのは、自分の嫌な部分を相手に投影しているから、あるいは自分が持てない相手の価値観を妬ましく思っているから。それと同様に、際立って同性愛嫌悪を示している人ほど、同性愛者が気になって仕方がないという研究結果が出ています。

 

 

 

同性愛カップルの画像から目が離せない

1608211source/THE HUFFINGTON POST

 

The Journal of Sexual Medicine(毎月発行の性医学誌)の最新の研究によると、同性愛の男性に対して否定的な態度を示す人、いわゆるホモフォビア(同性愛嫌悪)の男性ほど、そうでない男性に比べてゲイ男性により興味を抱いていることが分かりました。

 

 

 

研究は“自称”トレートの男性を対象にスイスのジュネーブ大学で行われ、ゲイの男性に対する認識や感情を調査した後、「マネキン・タスク」というコンピューターによる行動分析を実行。行動科学の分野で良く実施されている実験です。

 

 

マネキンと聞くと、アパレルショップにあるような洋服を着させる像を想像されるかと思いますが、この「マネキン・タスク」におけるマネキンは、コンピューター上に表示される“あるフィギュア”のことを指しています。

 

 

今回の研究におけるマネキンは、「ゲイカップル」と「ストレートカップル」です。それぞれの画像がコンピューター上に表示されます。簡単に言うと、その画面上に出てくるイメージに対しどのような反応を示すかで、心理を探るという研究ですね。

 

 

 

上記による分析の結果、ホモフォビアの男性はストレートカップルの画像よりも、ゲイカップルの画像に対する注視時間のほうが長いという結果が出ました。逆に、ゲイに対してフレンドリーとされる男性は、それぞれの注視時間に差が無かったそうです。

 

 

 

 

 

自己の「内なる欲望」が嫌悪として現れる

1608212source/Banterloud

 

研究報告には「注視時間が高いということは、同性愛嫌悪者が同性愛者個々人に対して性的関心を持っていることを示しています。またこの研究により、同性愛嫌悪者がよりゲイポルノを好むという心理プロセスを理解できるだけでなく、性関連の行動予測に役立つでしょう」と記載されています。

 

 

つまり、その画像を見つめる時間が長ければ長いほど対象に興味を抱いていることになります。嫌いだからこそ、画像に対する怒りから視線をそらせないということも有り得そうですが、心理学の分野ではどうやら反対のようですね。

 

 

 

SNSの投稿や芸能人のブログなどでも、やたら批判的なコメントを残す人がいます。端からすれば「嫌いなら見なければ良いじゃないか」と思わされる行動ですが、当事者たちは嫌悪を抱くのと同等に強い興味を抱き、対象を無視することができないようです。それは、自分もそうでそんな自分が嫌だから批判する、あるいは自分はそうしたいのに出来ないから批判するという心理から来ています。芸能人のバッシングに当てはめると、後者はより想像しやすいですよね。

 

 

 

ホモフォビアの場合、心のどこかで自分も同性が気になるけど、それは宗教的に許されていないから、同性愛は悪いことだからゲイを否定する。自分はゲイとしてオープンにできないから、オープンに人生を楽しんでいるゲイが妬ましい。こういった感情が、一部の人の嫌悪を引き起こすのでしょう。

 

 

1608213source/UNDERCOVERRECRUITER

 

 

また、心理学の分野では反動形成(抑圧されている無意識下の欲求が意識や行動に現れないよう、それと正反対の意識・行動に置き換えられること)も関連していると言われています。

 

 

例えば、
— “周囲や自分自身に同性愛者でないことを示す”ために女性と結婚している、カミングアウトできないゲイ男性

 

—タバコに対してとても否定的な態度を示しているのに、密かにタバコに火を灯している喫煙者

 

—売春罪を取り締まる役職に携わっていながら買春する人

 

 

という人々です。ホモフォビアも同様に、自身もゲイでありながらそれを隠すためにゲイに対して暴力を振るう、意地悪をするというのが反動形成にあたります。

 

 

 

 

隣の芝生は青く見える。自分の芝生はちっとも生い茂っていない……育てる環境も違うから、自分の芝生は今後も綺麗になることはないだろう。そこで妬ましく思い、隣の芝生を枯らしたり刈りとる行為は非道ですよね。

 

 

 

今回の研究はサンプルサイズが小さいため、必ずしも同性愛嫌悪者みなに結果が当てはまるとは言えないでしょう。しかし、さらなる研究を重ねれば社会理解や犯罪防止に役立つのではないかと思います。

 

 

 

Top Photo/Pinterest

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