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2016.05.14

【編者の雑談】“みんなちがって、みんないい”とはこういうこと

金子みすゞさんの詩に出会ったのは幼少期。絵本のように読んでいた私には深い意味など到底理解できたわけもなく、単純に言葉を楽しんでいたのを覚えています。そして、国語の教科書で再会した『私と小鳥と鈴と』。お気に入りの詩でもあり、SECRET BOXの理念でもあります。

 

 

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source/風輪

 

 

26歳という若さでこの世を去った金子みすゞさんは、大正時代末期から昭和時代初期に活躍した童謡詩人。彼女の詩『私と小鳥と鈴と』は、端的に言うと一人ひとりがそれぞれ素晴らしい、一緒じゃなくて当たり前だし、そこに優劣は存在しないという想いが込められています。80年以上も前からこんなに素敵な詩が存在し、誰しもが読んだり聞いたりしたことがあるはずなのに、社会では“みんなちがって、みんないい”という単純なことが浸透していないように思うのです。

 

 

なぜ、金子みすゞさんの詩の話を持ち出したかというと、今回東京レインボープライド2016に参加し、まさに“みんなちがって、みんないい”というフレーズを色濃く感じたからです。同時に、SECRET BOXの理念を再確認しました。

 

 

セクシャルマイノリティは、その単語の使いやすさからLGBT(あるいはLGBTQI)という総称でまとめられがちですが、LGBTに帰属する人々が皆同じというわけではないです。

 

 

もちろん、共通認識の上での単語は必要です。「りんご」と聞いて、バナナやメロンを思い浮かべる人がいたら社会が成立しないですもんね。少なくとも、LGBTは“ゲイやレズビアンなどの性的少数派を指している”という共通認識は必要です。さらに少数派という事実がある以上、LGBTの存在の認識を拡大していくことがまずもっての使命だったりします。

 

 

だからといって、固定観念で物事が進んでしまうと衝突の原因になりかねません。性的少数派と一括りにされる中には、ゲイやレズビアンだけでなく、バイセクシャルやトランスジェンダー、インターセックス、パンセクシャル、アセクシャル……他、多くのタイプの人が存在します。そして、ゲイの中にもマッチョの人がいれば、毛が薄くて太っている人もいるし、オネエ言葉を使う人もいれば、歩けなかったり耳が聴こえない人だっているんです。

 

 

これを読んでくれている方からしてみれば、そんなの分かってるよと思うかもしれません。でも、本当に固定概念なく、それぞれを「ひとりの人間」として見れていますか?

 

 

さらに言えば、逆もまた然り。自分が他人と違うからといって、同じように行動する必要はないということです。(人を殺していいなどの倫理面を言っているわけではありません。)自分の中の多様性も認めてあげることが大事なのではないでしょうか。

 

 

様々な人が参加していた東京レインボープライドは、まさに多様性を具現化した場だと感じました。一人ひとりが違って、それぞれの個性があって、でもそれが良いとか悪いとかではなくそれでいいんだという空気ができていたと思います。よく、LGBT当事者間での差別が問題視されていたりしますが、東京レインボープライドではその垣根も超えた、多様性の理解が自然と広がっていたように感じ、これこそ“みんなちがって、みんないい”ということ、私たちが目指すべきことだなと再確認できました。

 

 

 

前述の通り、社会がマジョリティの共通認識で成り立っていることは否めません。ただ、「りんご」の共通概念は普遍かもしれませんが、「りんごを食べる」ことについては普遍とは言えないと思います。死刑制度に関しても、然るべきこととして執行してきた国が死刑廃止を宣言したりと、マジョリティの共通認識が正しいか正しくないかは誰にも分からないことで、多数決で正しいと思い込んでいるだけなのかもしれません。現代社会では、たまたま異性愛者の方が多いがために、同性愛者が性的少数派とされていますが、もし仮に今後同性愛者が全人口の8割、異性愛者が2割の世の中になった場合どうしますか?

 

 

また、人間はりんごではないので、共通概念そのものが難解です。性別を例えに出してみると、男性から女性になり「女性」という性を大事にしたいと考える人もいれば、男女間を差別するくらいなら性別なんて関係ないじゃんと考える人だっています。やっと自認する性になれた人にとってみれば、「女性=●●●」というこの●に当てはまる概念が必要なんです。それがあるからこそ、自分が女性と認められると。でも、かたや“女性らしく”とはなんぞや、なぜ女性らしくしなければいけないのか、という意見もありますよね。
一概に、男と女という概念を無くそう、いや男はこうで女はこうあるべき、という話では終わらないんですよね。

 

 

若干話がそれましたが、要は「みんながこうでなければいけない」という絶対的な概念=ルールは存在しないと思うんです。だったら、“みんなちがって、みんないい”という寛容さを常に持ちあわせていたほうが、あなたもわたしも生きやすくないですか?ということ。

 

 

 

まとまったようでまとまっていない「編者の雑談」第5弾、これにて東京レインボープライドのリポートを完遂とさせていただきたいと思います。
さて、冒頭に述べましたが、“みんなちがって、みんないい”はSECRET BOXの理念でもあります。今後も、この理念をもとに、あらゆる可能性(と多様性も、ですね)を解き明かしていきますので、今後ともよろしくお願い致します。

 

 

 

Top Photo/Pinterest

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